くすりの村源

便秘の治療

便からわかること
  健康的な便というのは、一般に水分の割合が70~80%くらいで、練り歯磨きのような半練り状、あるいはバナナ状をしています。色は茶色系で、量としてはバナナ位の大きさのものが、毎日1~2本排泄されれば理想的です。
 
便秘とは
  便通の回数や排泄量が減少して不快感がある状態をいいます。全身性の疾患や生活習慣など原因は多様です。近年、大腸癌が増加していますが、便秘症状がある場合には、まず大腸癌の検診を受けましょう。
 
  便秘の種類
 
  1.症候性便秘、器質性便秘…… 大腸の疾患(腸閉塞、大腸癌、大腸ポリープなど)、他の臓器疾患が腸管を圧迫、大腸の形が異常 → いずれも専門医(消化器内科)を受診することにより判明
 
2. 機能性便秘
 
1)一過性便秘: ダイエット、妊娠、月経前症候群 → 原因解消により回復
2)常習性便秘:
a.結腸性便秘(弛緩性便秘)… 腸管の緊張低下や運動の低下により便を十分に押し出せずに便秘。
高齢者、無力体質者、長く寝たきりの方に多い。
b.直腸性便秘(習慣性便秘)… 頻度がたかい。糞便が直腸内に送られても正常な排便反射が起こらず、直腸内に糞便が停滞する便秘。
便意をガマンする習慣の人や浣腸の乱用によって直腸粘膜の神経が鈍った人に多い。
糞便は硬く固まり、断片状に排泄し残便感がある。
3)痙攣性便秘(過敏性腸症候群の便秘型): 主に精神的ストレスが原因で、腸が痙攣を起こし、ところどころがくびれて狭くなり、その結果、便の通過障害が起こり便秘になる。
腹痛を訴えることが特徴的で、特に食後に痛む。
便意は非常に強いが、出ても硬いコロコロ便で、量が少なく残便感がある。
3. 薬物性便秘……常習性便秘と合併していることが多い
 
便秘を起こしやすい薬剤
  抗コリン薬(腹痛の薬など)
  制酸薬(胃薬など)
  鎮痛薬、咳止め薬、麻薬
  抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬
  筋弛緩薬
  パーキンソン病治療薬
  血圧降下薬
  喘息用薬(気管支拡張薬)
 
治療
  便秘の治療方針の基本は、
 
  (1) 生活様式の指導(排便習慣の是正、運動など)
  (2) 食事療法(主として朝食の摂取と多量の水分摂取及び食物繊維の摂取)
  (3) 薬物療法
  の3点であり、「1に生活、2に食事、3、4がなくて、5に薬」と考えられ、下剤は最終手段なのです。
患者さんも医師もややもすると「便秘、即、下剤」と考えがちですが、便秘は生活習慣病の一つであると考え、日頃から規則正しい生活習慣を心がけ、便秘を予防することが肝心です。

次回のチラシ掲載日までお待ちください(毎月24日)