くすりの村源

床ずれの最新治療法

褥創(ジョクソウ)(床ずれ)とは
  健康な人は寝返りを打つことで体重による圧力が一定の部位に長時間かかるのを防いでいます。しかし、自力で寝返りを打てない状態になると、一定の部位に力が加わり続け、皮膚には血液が流れなくなり壊死が生じます。これが褥創です。
褥創はおもに骨のとびだした部分にできます。痩せた高齢者が2・3日寝込んだだけでできることもあります。
かつて褥創は一度できたらなかなか治らないと怖れられたものでしたが、最近は治療法が進歩して在宅でも治せるようになりました。また圧力を分散させるエアマットレスなどを使うことにより、予防や治療が容易になりました。

 

褥創の治療
  褥創の治療法はこの数年間で大きく変わりました。かつては褥創を消毒して乾燥させるのが当然とされてきましたが、今では消毒しない乾燥させない(湿潤環境で組織修復を促進する)治療法が標準になりました。
 
  (1) 創と周囲を温水で洗浄します。創に消毒剤や抗菌剤、ガーゼなどは使いません。
  (2) 食品ラップを創に貼付します。浸出液が多い時は1/3に切った紙おむつを台所用の穴あきポリエチレン袋に入れて創に貼付します。創面の湿潤を保ちながら浸出液は穴から紙おむつに吸収されます。
  (3) 以上を1日1回取り替えます。
  4~12週で治療します。

 

褥創の治療
  皮膚の観察…………
1. 圧力のかかりやすい骨のとびだした部位を観察します。肩甲骨部(肩の後)、仙骨部(腰の後)、大転子部(大腿の左右側面)、踵(かかと)などを清拭のときや着替えのときに、赤くなったり黒くなったりしていないか観察します。
2. 皮膚の異常を発見したら主治医や訪問看護師と相談しながら除圧と治療をおこないます。
  徐圧…………………
1. これまでは2時間ごとの体位変換(寝返りのかわりに体の向きをかえてあげる)をするようにいわれてきましたが,これは硬いベッドに患者さんを寝かせていた時代の名残だと思います。
2. 最近は除圧のできるマットレスや、空気が交互に膨らむ便利なエアマットを使うことで必ずしも体位変換をしなくても褥創が予防できるようになりました。
3. 圧迫の原因になりますので,紙オムツを2枚重ねにしたり,尿とりパッドを仙骨部にあてたりしてはいけません。円座も使ってはいけません。厚みのある創被覆材料(ハイドロサイト、ハイドロコロイドドレッシングなどの商用ドレッシングやガーゼ)も同じように創部を圧迫します。
4. ラップ療法は除圧に最適なうえ、創や周囲の皮膚を損傷しません。
フィルムドレッシング材(食品用ラップ、オプサイトなど)は薄い、滑りが良い、体動によっても剥がれにくいという利点があり、創を圧迫しません。
さらに適切にマットレスを使用すると体位変換をすることなく、仰臥位のままで治療ができます。
  皮膚の保護と清潔…
1. 尿や便、汗等で汚れた皮膚は、かぶれたりただたりしやすくなります。オムツを交換するときは体をぬるま湯で洗いましょう。霧吹スプレーをうまく使って、処置をしながらおしり全体をきれいに洗います。
2. 入浴は皮膚の清潔保持、血液循環の促進、皮膚の観察などに有効です。風呂のお湯は滅菌状態ではありませんが、褥創はもともと細菌で汚染されている傷ですから、家庭の風呂に入るかぎり感染の心配は無用です。他の方と共同で使用され感染の危険性があるときは、創部をふさいで入るかシャワー浴にします。
  栄養………………… 栄養が不足してやせてくると褥創ができやすくなります。栄養補給を心がけましょう。

 

次回のチラシ掲載日までお待ちください(毎月24日)