授乳と薬
母乳で赤ちゃんを育てているお母さんが薬を飲みますと、薬は
お母さんの体内に入る → 母乳に分泌 → 赤ちゃんが飲む
という経路で赤ちゃんの体内に入ります。
特に脂溶性がたかい薬(水に溶け難い薬)は母乳に移行しやすい傾向があります。
赤ちゃんは身体が小さい上に、代謝や排泄の機能が不十分なので、ほんの少しの薬でも影響を受けてしまう可能性があります。
母乳に移行しない薬や、赤ちゃんに安全に使える薬は、お母さんが服用しても安全な薬であると考えられています。
OTC薬成分 |
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危険な成分
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比較的安全な成分
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解熱鎮痛剤 |
アスピリン、イソプロピルアンチピリン |
アセトアミノフェン |
鎮咳薬 |
リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン |
臭化水素酸デキストロメトルファン |
アレルギー用薬 |
フマル酸クレマスチン |
マレイン酸クロルフェニラミン |
胃腸薬 |
ロートエキス、ベラドンナアルカロイド、シメチジン |
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便秘薬 |
センナ、ダイオウ、アロエ、ビサコジル、ピコスルファートナアトリウム |
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ビタミン |
ビタミンD |
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他 |
アルコール(酒)、ニコチン(タバコ)、カフェイン(風邪薬、鼻炎薬、咳止め、ドリンク、コーヒー、他) |
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医療用医薬品には危険な薬が沢山あります。薬剤師にご相談ください。 |
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授乳しているお母さんは酒・タバコ・コーヒーはやめるべきでしょう。 どうしてもやめられないなら、 |
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コーヒーは、カフェインの少ないものを少々! |
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タバコは、喫煙から2時間以内の母乳は授乳しない! |
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お酒は、赤ちゃんが眠ってから、5%のビールで500ml以下にとどめる! |
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授乳中に風邪薬をのみたいのですが、赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはないですか? |
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極く微量ですが、成分が乳汁中へ移行する可能性はあります。 乳児に影響を与える量ではありませんので、かぜを赤ちゃんに移さないためにも、お母様の治療を優先させるべきと考えますが、服用はできるだけ短期間(1~2日)とし、母乳への移行を最小限にするため、授乳直後に服用し、また血中濃度の高まる時期(服用後0.5~4時間)を避けて授乳されることをおすすめします。 |
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妊娠中や授乳期にドリンク剤を服用してもよいですか? |
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ドリンク剤類はいずれも効能に「妊娠授乳期などの場合の栄養補給」と記載がありますから、基本的に心配はありません。ただし、カフェインが配合されているドリンク剤は避けたほうが良いでしょう。 また、B2B6剤やC剤なども同様な効能の記載がありますから、ドリンク剤に限らず、総合ビタミン剤やマルチビタミンサプリメントの服用をおすすめします。 |
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妊娠・授乳期に便秘薬を服用してもよいですか?また、浣腸薬はどうですか? |
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妊娠期に便秘薬を使用すると骨盤内充血を起こし、子宮の収縮を促して早流産を起こす恐れがあると言われているので、使用しないでください。 浣腸は妊娠末期に人工的に陣痛を起こしたり、弱い陣痛を強めたりする際に補助的に実施することからわかるように、強い陣痛催起作用を持っていますので、妊娠後期の浣腸は医師の指示がない限りは使用しないでください。 授乳期にセンノサイド含有の便秘薬を使用すると母乳に移行し、赤ちゃんが下痢を起こす可能性があるので、使用しないでください。服用した場合には授乳を避けてください。 妊娠・授乳期の便秘薬服用はかかりつけ医にご相談ください。 なお、食品になりますが、マービーキャンデーやオリゴ糖を1日10~15粒、1~2週間摂取すると、腸内のビフィズス菌が増えて腸内環境が良好になり、便秘が改善します。他のオリゴ糖製品でも同様の効果が期待で きます。また、ニガリも塩類下剤としての効果が期待できます。 |
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妊娠中や授乳中に市販の目薬を使用しても大丈夫ですか? |
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市販の目薬は添付文書にも特別な注意記載はありません。また使用する量(1滴約0.05ml)から考えても妊娠中や授乳期でも問題ないと思われます。ただ、妊娠中は産婦人科の主治医には市販の目薬を使用している旨をお伝えいただくことをお勧めします。 |
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授乳中ですが、乗り物酔いの薬をのんでもよいですか? |
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短期間(2~3日)に服用する場合には問題ありません。しかしながら、やむをえない場合を除いて、できるだけのまないようにしてください。 (ジフェンヒドラミンを含む乗り物酔いの薬は服用しないでください) 例…トラベルミン内服液 |
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