くすりの村源

痔の治療法

一口に痔と言ってもいろいろな種類があります。症状からみた病名を表にしました。
症状
考えられる疾患
肛門部に丸いしこりができてずきずき痛む 血栓性外痔核(血のかたまり)
排便時に非常に痛みが強く、そのあとしばらく痛みが続く 裂肛(きれ痔)
肛門の周りがずきずき痛み、次第に痛み強くなる。
発熱する事もある。
肛門周囲膿瘍(直腸周囲膿瘍)
排便後、痔核が出たまま入らず、それ以後痛みが激しくなる 嵌頓(かんとん)痔核
走るように出血したり、ポタポタ出血したりするが痛みは少ない 内痔核、時に肛門ポリープ
粘液や、赤褐色の血液の混じった便がでる 大腸癌、直腸癌、肛門癌、潰瘍性大腸炎、クローン病
排便時に肛門部が外に出て、出血がみられる 脱肛
痔核が出たまま入らずに痛む 嵌頓痔核
排便時にいきむと腸が外へ長くたれて出る 直腸脱
肛門の周囲に管状のしこりが触れ、分泌物がでることもある 痔瘻
肛門内から粘液などが出て、じめじめする 脱肛、直腸脱
肛門の周囲がかゆい 肛門周囲湿疹、肛門皮膚掻痒症、痔瘻、脱肛、蛙虫

 

  保存的治療
    症状が軽い痔核や裂肛は、薬(坐薬・軟膏・内服薬)で約6割が治ります。
痔の薬物療法は大別して飲み薬とおしりにつける薬(なんこう、坐薬)があります。
飲み薬は便を柔らかくする薬が中心で、漢方薬の乙字湯(おつじとう)や各種緩下剤が使われます。便を「やわらかめ」に保つよう薬の量を調節することがポイントで、下痢するようでは逆効果になります。
軟膏、坐薬は基本的には成分は痛みを抑える鎮痛薬、麻酔薬と炎症を抑える薬(ステロイドまたは非ステロイド系抗炎症薬)が主成分です。
一般に朝、夕の1日2回使います。一般には排便後に使いますが、排便痛がひどい時は、排便の5分前に薬をいれて「効いてきた」頃に排便するというのも有効です。
気をつけなければならないのは、長期に使っていると肛門皮膚が薬のためかぶれてしまうことがあるということです。使っていてかゆみがでてきたら中止すべきです。

 

切れ痔の薬物療法
切れ痔はせまい肛門を硬い便が通過するために肛門が裂けるのが原因です。したがって便を柔らかくする薬が非常に効果的です。
またニトロ軟膏(医療用)という肛門括約筋を弛緩させる作用のある軟膏も有効です。「肛門が少し狭い」位なら下剤とニトロ軟膏でよくなります。「肛門がガチガチに硬く指も入らないくらい狭い」ようならニトロでも広がりません。手術に踏み切った方がよいでしょう
イボ痔(内痔、内外痔核)の薬物療法
出血や痛みが主な症状で「肛門からの脱出(脱肛)」が無いなら薬物療法がかなり有効です。
これらは痔核が炎症を起こしているのが原因ですから、炎症を抑える薬(ステロイド)の入った軟膏、坐薬によりかなり症状は消えます。
しかし、「ひんぱんに脱出する」ようになったら、余分な粘膜のたるみができてしまったことを意味します。
薬ではこのたるみを消失させることはできません。たるみを消失させる処置(輪ゴム療法、注射療法、手術)に踏み切った方がよいでしょう
痔瘻、肛門周囲膿瘍
抗生物質で一時的な症状の改善は得られます。軽症の場合は抗生物質で治癒することもあります。
しかし、多くの場合は手術による根治が必要です。

 

単純切除法(電気メス・レーザーメス使用)
内痔核、外痔核、裂肛、肛門ポリープなど、1~2ヶ所の小さな脱出の場合にその部分を切除します。
凍結法(冷凍メス使用)
液化炭酸ガスを使用し、痔核などの患部を-31℃で凍結し、脱落させます。
結染切除術(電気メス・レーザーメス使用)
脱肛、つまり、肛門周囲が脱出している場合にこの方法を用います。

 

生活上の注意
  食生活などの日常生活を見直して、便通をととのえる
 
  早起きして朝食を取る
  食物繊維を多くとる
  乳酸菌を取る
  飲みすぎと香辛料に注意する
  お尻の清潔に心掛ける
 
  排便後に入浴する
  排便後、入浴が無理な場合はお尻を洗う
  正しい排便習慣を身につける
 
  自然な便意でトイレに行く
  トイレタイムは3分以内に
  痔とうまく付き合う
 
  毎日入浴する
  座りっぱなしや立ちっぱなしを避ける
  腰を冷やさない
  適度な運動をする

次回のチラシ掲載日までお待ちください(毎月24日)