風邪薬の説明書に「排尿困難な方は相談すること」と書いてますが?
排尿困難な方の多くは基礎疾患に前立腺肥大をもっています。
排尿も自律神経の支配を受けていて、交感神経刺激により膀胱括約筋は弛緩して膀胱容量が大きくなるとともに、三角部が収縮して排尿を止めます。副交感神経を刺激すると尿道括約筋が弛緩して排尿がうながされます。
市販の総合感冒薬に配合される気管支拡張薬(エフェドリン類)は交感神経刺激作用により尿道を収縮させ、抗ヒスタミン剤は副交感神経遮断作用により排尿筋を弛緩させるため、いずれも急性尿閉の原因になります。
葛根湯などの漢方薬にもエフェドリンを主な成分とする麻黄(マオウ)が含まれています。
ほかにも、処方せんで貰う抗てんかん剤(アレビアチン、ヒダントール、フェノバール、テグレトールなど)、パーキンソン症候群治療剤、抗精神病剤(コントミン、ピレチアなど)、抗精神分裂病剤(セレネースなど)、三環系抗うつ剤(トフラニール、アナフラニールなど)、胃腸透視・内視鏡検査時の鎮痙剤、疝痛のための鎮痙剤(ブスコパンなど)、胃腸や消化管潰瘍治療剤(ロートエキス、ガストロフィリンAなど)、膀胱弛緩剤、喘息治療剤、昇圧剤、麻黄を含む漢方薬(葛根湯、小青竜湯、麻黄湯など)が尿閉を発生させることがあります。
また、アルコールは膀胱に対して、(1)排尿筋収縮を直接抑制し、(2)利尿作用により、多量の尿が貯留して膀胱を過伸展させるため排尿収縮筋を低下させ、(3)前立腺部尿道にうっ血や浮腫を生じさせ尿道閉塞をさらに悪化させて、膀胱と尿道の両方に悪影響を及ぼし急性尿閉を発生させることがあります。
前立腺肥大症の方が尿が出にくくなるのを防ぐには
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下半身を冷やさないように(寒冷刺激は交感神経を刺激します) |
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お酒は飲みすぎないように |
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長時間座り続けないように |
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市販の風邪薬の服用には注意を |
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適度の温度でゆっくり入浴することも急性尿閉の予防になります。 |
尿がたくさん溜まっているのに尿が出なくなったときには、急いで泌尿器科か外科を受診してください。
【結論】 前立腺肥大症の方の風邪薬には
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1. |
気管支拡張薬と抗ヒスタミン薬を避ける → 総合感冒薬ではなく、症状にあわせて組み合わせる |
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熱には………… |
解熱剤(バファリンプラスなど) |
喉の炎症には… |
ペラックT、各種のど飴(明治Gトローチ、南天のど飴、駆風解毒湯トローチ、コフデミンGトローチなど) |
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下記の製品はメチルエフェドリンを含むのでおすすめできません。 浅田飴咳止め、浅田飴せき・こえ・のどフォロップYP、ペラックスイート |
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2. |
漢方薬をおすすめする |
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体が弱い方や、無理をして体が弱りつつある方の風邪の引き始め |
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桂枝湯 |
風邪をひいて4~5日たっても食欲無く、元気が出ない |
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小柴胡湯 |
桂枝湯と小柴胡湯を合わせたもの、風邪のほかに消化器不調や夜尿症に |
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柴胡桂枝湯 |
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