サプリ豆知識
【ヘム鉄・鉄】
[読み]へむてつ
[英]Iron (Fe) [学名]Iron (Fe)
こんな人にお勧め | 貧血が気になる人・疲れが気になる人・ダイエットをしたい人・女性全般 |
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主な働き | 体内の鉄の70%は血液中、残りは肝臓、脾臓、骨髄、筋肉などに存在し、主に赤血球のヘモグロビンと結合して酸素の運搬、細胞呼吸に重要な役割を担っています。 大豆やホウレンソウなどに含まれる植物由来の非ヘム鉄は1~10%しか吸収されないうえに、胃腸障害が問題になります。肉類やレバーなどに含まれる動物由来のヘム鉄は生体内で15~30%吸収され、胃腸障害も少ないという利点があります。 ヘム鉄はアミノ酸と同時に摂取すると吸収が促進されます。 1)鉄欠乏性の貧血に経口摂取で有効です。ヘム鉄を関与成分とした特定保健用食品が許可されており、表示例は「鉄の補給を必要とする貧血気味の人に適します」とされています。 2)手術前1ヶ月から鉄摂取を始めたところ、手術直後のヘモグロビン減少を抑えたという報告があります。 3)鉄のサプリメントはADHD(注意欠損/多動性障害)の症状を改善するという予備的な臨床での証拠があります。 4)鉄欠乏症の小児および思春期の若者における、認識能(言語習得、記憶など)の向上に経口摂取で有効性が示唆されています。 5)ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤の副作用である咳に対して、経口摂取で有効性が示唆されています。 |
不足すると | 鉄欠乏症は世界的に最もよく見られる栄養失調です。特に新生児や妊婦の鉄欠乏は、重篤な貧血を起こすことがあり、鉄の栄養学的な重要性が見直されています。一般に「鉄は血液を造る」などといわれ、鉄欠乏性貧血の治療に対してヒトでの有効性が示唆されています。 鉄が不足すると疲れやすくなったり、貧血や肩こり、冷え症に悩まされることもあります。舌や口の角がただれたり、顔色が悪くなります。また、爪が反り返ることがあります。更に、息切れ・めまい、作業能力低下、感染免疫力低下、慢性疲労などもおこります。女性は月経や出産などで鉄分が不足するので、男性より多くの量が必要だといえるでしょう。 |
多く含まれる食品 | 鉄分はレバー、赤身の肉、牡蠣、あさり佃煮の他、ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜、穀類、木の実などにも含まれています。 |
注意すること | ・健常人(妊娠中、授乳中を含む)の一日許容量は45mg、鉄欠乏症患者の治療としては、ほとんどの場合一日300mgまでは安全に摂取できると考えらますが、胃腸障害の可能性は高くなります。 ・体重1キロあたり鉄として30mgで急性中毒を起こします。60mg/kg以上の急性毒性濃度で嘔吐や下痢が起こり、次いで心臓血管系または代謝系に異常をきたし死に至ることがあります。長期間、多量に摂取するとヘモシデリン沈着症や多機能不全の原因となります。致死量は180-300mg/kgとみられますが、60mg/kgでも死に至るという報告もあり、摂取量には注意が必要です。。 ・鉄は、胃潰瘍、腸炎、潰瘍性大腸炎の症状を悪化させるので、これらの患者には禁忌です。 ・過剰摂取により鉄沈着症、血色素症、眼球鉄症、遺伝性ヘモクロマトーゼ、胃腸障害(便秘・吐き気・嘔吐)を招きます。脂溶性の経口鉄剤は、歯を黒くする可能性があります。 |
医薬品等との相互作用 | フルオロキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗生物質、ペニシラミン、レボチロキシン、ビスフォスフォネート ・次の医薬品やサプリメントは鉄剤の吸収率を低下させます。服用する際は2時間以上間隔をあけて下さい。 H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬、アルミニウムやカルシウムを含む制酸薬、アスピリン、非ステロイド系抗炎症剤、コレスチラミン、フルオロキノロン、パンクレアチン、カルシウム・サプリメント、紅茶やコーヒーのカフェインやタンニン ・乳製品は鉄の吸収率を低下させますが、貯蔵鉄の量が充分な人では顕著な影響はありません。貧血気味な人は乳製品の過剰摂取に気をつけましょう。 ・大豆タンパクは食品中の非ヘム鉄の吸収率を下げます。ヘム鉄での補充を心がけましょう。 ・ビタミンCは非ヘム鉄の吸収率を上げます。 ・ビタミンB2欠乏症の人では、ビタミンB2サプリメントは鉄のサプリメントへの反応を良くします。 |
豆知識 | ヘム鉄は、ポルフィリン環という環状構造の中央部に鉄が結合し、それにポリペプチドが結合しています。経口摂取するとポリペプチドがはずれてポルフィリン環がくっついたまま吸収されますので、消化管のなかで水和物になりません。そのため、胃腸障害や薬などとの相互作用があまり発生しません。 |