コエンザイムQ
コエンザイムQ10(CoQ10)は別名ユビキノンとよばれる脂溶性のビタミン様物質で、肉類や魚介類などの食品に含まれています。ヒトの体内でもチロシンとメバロン酸から合成されています。
西欧型の食生活をしているときの食事からの平均摂取量は一日当たり5~10mg、そのときの血漿中のコエンザイムQ10は40%が食事由来、その他の60%は体内で合成されたものと見積もられています。
体内においては、呼吸活性の高い組織である心臓や、肝臓、膵臓、腎臓、副腎などに多く含まれ、細胞内では主にミトコンドリア内膜、血液中ではLDLなどのリポタンパク質に結合して存在しています。
コエンザイムQ10の体内における働きは、電子伝達系における補酵素(コエンザイム)として体内のエネルギー単位であるATP(アデノシン三リン酸)の産生に関与することです。また抗酸化物質としても注目されています。
コエンザイムQ10は1973年にうっ血性心不全の薬として発売され、2001年にはサプリメントとしての使用が認められました。そこで、サプリメントにも医薬品と同じような安全性・有効性が期待されていますが、商品中の表示成分、商品の品質(不純物混入の有無)、含量の真偽、摂取したときの体内吸収等の特性は、医薬品ほど厳密な規定が無いため同等ではありません。
コエンザイムQ10は一般的に高用量でも副作用が出にくく、かなり安全性が高いと考えられています。多量に摂取した場合に軽度の胃腸症状(悪心、下痢、上腹部痛)が報告されているものの、ヒト臨床研究では有意な副作用は認められていません。ヒトが一日に何mgのコエンザイムQ10を摂取すべきかについてはまだよくわかっていないので、ビタミンのように食事摂取基準による推奨量や上限値などは策定できていません。
血圧の薬や糖尿病の薬を服用中の方がコエンザイムQ10を併用する際には検査値の変動をよく見て適切に対応する必要があります。また、スタチン系のコレステロール合成阻害薬を服用している方ではコエンザイムQ10の体内での合成量が減少します。しかし、コエンザイムQ10服用によってどのようなメリットがあるのか明確なことはわかっていません。
妊婦や授乳婦への安全性は確立していないので、服用は避けたほうがいいでしょう。
参考:(独)国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」
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