くすりの村源

ビタミンE

ビタミンEの種類
 
ビタミンEは穀物、緑葉植物、海藻類、野菜、種子類、魚類、肉類などに含まれ、幅広く自然界に存在します。天然には少なくとも8種類のビタミンEが存在し、そのビタミンEとしての生物活性(効力)はα-トコフェロールが最も強いので、一般的には、ビタミンEというとα-トコフェロールをさします。
「天然ビタミンE」を製造するには、主に大豆、なたね、綿実などの油かすから抽出しています。
 
相対活性
α-トコフェロール 100
β-トコフェロール 30~50
γ-トコフェロール 10
δ-トコフェロール 2以下
 
ビタミンEの作用
  ビタミンEの生理作用は大きく分けると2つあります。1つは酸化を防ぐ抗酸化作用、そしてもう1つは生体膜安定化作用です。
 
  (1)抗酸化作用………… 私たちは酸素なしでは生きていけません。体は酸素を上手に活用してエネルギー(ATP)をつくり、生命活動を維持しています。一部の酸素は活性酸素(フリーラジカル)という暴れ者に変わり、体内に侵入した細菌に殺菌作用をあらわしたり、酸化反応を繰り返して過酸化脂質を生成し、生体膜を障害したりします。
私たちは体内に活性酸素を処理する酸素(抗酸化酵素)をもっていて、活性酸素を処理していますが、それをすり抜けた活性酸素にはビタミンEやビタミンCなどが協力して抗酸化剤として働き、無害化します。
  (2)生体膜安定化作用… ビタミンEは、抗酸化作用を介して生体膜を安定化させるほかに、膜成分のリン脂質に入り込んで構造上の安定をもたらすという作用もあるとみられています。
 
どんなときに使うの
 
(1)医薬品(ヒト用)… 医薬品の中でも、医療用と一般用(大衆薬)がありますが、医療用では末梢血行障害(凍瘡=しもやけ、四肢冷感症など)に用いられ、一般用では更年期障害に伴う諸症状や肩こり、手足のしびれなどの症状の改善に用いられています。
なお、食直後に服用すると最も効率よく体内に入っていきます。
(2)食品、添加物……… 食品としては、一般的な健康食品としてのビタミンの補給に用いられる場合と、食品の酸化を防ぐための酸化防止剤としての食品添加物として広く用いられています。
 
副作用は
  現在までのところ、副作用が問題となったことはありません。妊婦でも下記の摂取量の範囲なら心配はいらないといわれています。
ただし、心臓の病気などでワーファリンを服用している方は一日400IU(単位)以上摂取するとワーファリンの作用を増強し、出血傾向がでてきますので、注意しましょう。
 
  注) 天然ビタミンE(d-α-トコフェロール) 1IU=0.67mg 400IUは268mg
    合成ビタミンE(dI-α-トコフェロール) 1IU=0.45mg 400IUは180mg
 
摂取量は、いつ飲むの
  ビタミンEの1日所要量は成人男性10mg、成人女性8mg、妊婦10mg、授乳婦11mg、上限は600mgです。
ビタミンEは脂溶性で熱や酸では強く、鉄やアルカリ、紫外線などに弱い性質です。
主な供給源はアーモンドなどの種実類や、カボチャやホウレンソウなどの野菜類、紅花油などの油脂類です。Eは脂溶性のビタミンのため、野菜などは油で炒めて食べると吸収力がアップします。
医薬品の場合300mg/日、 栄養機能食品サプリメントとしては150mg/日が上限とされ、食直後に服用すると良く吸収されます。
 
医薬品と健康食品
  最近の研究によれば「天然品」のほうが「合成品」よりも生体内の利用性が約2倍あるといわれています。
ビタミンEは医薬品として使用する場合には通常「天然品」が使われています。食品の場合は国が認めた栄養機能食品の場合にはやはり「天然品」が使われます。したがって、医薬品と栄養機能食品ではほぼ同じ効果が期待できます。
しかし、いわゆる健康食品には国の規制が及びませんので成分のビタミンEが「天然品」か「合成品」か、また「α-トコフェロール」か他のビタミンEか、表示をよく見て購入しましょう。

次回のチラシ掲載日までお待ちください(毎月24日)