子供と薬
薬との関係を考える時、小児は大人を小さくしたものではありません。
身体の水分が大人では体重の55%を占めるのに対して、小児は70~80%を占めています。
薬には水分に溶けて体に分布するものと、脂肪分に溶けて身体に分布・蓄積するものとがあり、大人と子供では同じ薬でも体内での分布や蓄積の仕方が異なります。
また、薬を代謝する肝臓の働きも生後3ヶ月くらいでなんとかできるようになり、薬を排泄する腎臓も生後6ヶ月くらいから機能するようになります。
身体に入った薬が使われて順調に排泄されるようになるのは2~3才からです。
小児は各種臓器が発育途中なので、大人には無い病気や副作用が現れることがあります。
解熱鎮痛成分アスピリンやイブプロフェンは小児に致死的な「ライ症候群」を起こすことがあります。
小児にはまだまだ未知の副作用が現れるかもしれません。
小児への使用経験が少ない成分が配合されている薬には、使用可能年齢の制限があるのはそのためです。
また、錠剤やカプセル剤を飲むのは小児にとってなかなか困難です。無理に飲ませて窒息した例もあるので、剤型のサイズに応じても、年齢制限がされています。
小児には一般に体表面積から換算した用量が適切とされています。大人の薬用量を「1」とすると次のようになります。
 |
新生児
|
生後6ヶ月
|
1歳
|
3歳
|
7歳6ヶ月
|
12歳
|
成人(15歳以上)
|
1/20~1/10
|
1/5
|
1/4
|
1/3
|
1/2
|
3/2
|
1
|
|