くすりの村源

高齢者に好発する疾患

高齢者の特長

  (1) 一人で多くの疾患を持っている。
  (2) 個人差が大きい。
  (3) 症状が若年者と異なっていたり、症状が現れなかったりする。
  (4) 脱水をおこしやすい。
  (5) 生体防御力が低下しているので、急性疾患がなおりにくい。
  (6) 薬に対する反応が若年者と異なる。
身体成分のうち水分が少なく、脂肪が多いので、水溶性薬物は高濃度になり、脂溶性薬物は蓄積されて作用時間が延長する。

 

高齢者に好発する疾患と発症要因別分類
 
急性疾患
成人期疾患の延長・増悪
退行変性疾患
発症時期 全年齢で発症 成人期から発症 老年期に発症
治療方針 最優先で治療し、根治をめざす 成人期以降からの健康・予防、危険因子の除去、発症したら積極的に治療 疾患増悪に対する予防・調整
心血管系疾患   高血圧、心不全、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症、不整脈、大動脈瘤  
中枢神経系疾患   脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、脳血管性痴呆 アルツハイマー型痴呆
消化器系疾患 急性胃腸炎、胃潰瘍 胃潰瘍、胆石症、肝臓癌、胆嚢癌、結腸癌、ポリープ、虚血性大腸炎 食道裂孔ヘルニア、憩室
呼吸器系疾患 肺炎、肺結核   慢性閉塞性肺疾患
血液系疾患   悪性リンパ腫、多発性骨髄腫 貧血(生理的)
腎・尿路系疾患 尿路感染症 慢性腎不全 前立腺肥大、尿失禁、萎縮腎
内分泌・代謝系疾患   糖尿病、痛風、甲状腺機能低下症  
筋・骨・関節系疾患   閉経後骨粗鬆症 老人性骨粗鬆症、肩関節周囲炎、変形性関節症
その他     白内障、緑内障、難聴、皮膚掻痒症、脱落歯
参考:横出正之ら「加齢と疾患 総論1」日本薬剤師会雑誌 2002.10

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